原作は弐瓶勉(にへいつとむ)による未来SFアクション。2014年のアニメ第1期、2015年の第2期「第九惑星戦役」のその後を描いた2021年の劇場版『シドニアの騎士 あいつむぐほし』。今作が完結編ということで薦められるがままアニメ全話見てからの鑑賞でした。
宇宙を舞台とした未来世界のSFアニメは数あれど、ヤマトでもガンダムでもマクロスでもない独特の世界観とキャラクター同士が織り成すロマンスが見どころの一つ。
キャッチコピーが
「身長差15メートルの恋」
ということで、
初見だったらハテナ(?)の連続だったでしょうが、原作やアニメをある程度見た上で劇場版を観ると非常に納得出来る仕上がり。キャラクターの関係性や立ち位置もほぼほぼ理解していただけに良い形で物語を終わらせてくれたと思います。
逆にこの作品だけ見るとシドニアは楽しめないというか、最低限アニメや原作の予備知識は必須ではないでしょうか・・・。
TVアニメから劇場版になって明らかに進化したのは作画と音響。
作画は、主人公の谷風長道をはじめとしてややハンサム寄りに描かれていただけに「誰だこいつ!?」的な側面は否めませんでしたが(笑)、音響はLIVEサウンド×RGBレーザーで観ただけに、DolbyAtmos(ドルビーアトモス)の技術と相まって圧倒されるクオリティーで聴かせてくれました。
原作がゴリゴリハードなSFなだけに物語に入り込むハードルの高さは感じるものの、サウンドの良さは近年観てきた映画の中でもトップクラス。是非劇場で観るべき作品だと感じます。
また、劇中機体(シドニアの人型主力戦闘機 衛人 -もりと-)の発進シークエンスも非常にかっこいい。
特にアニメ第1期OPテーマの「シドニア」(angela)が谷風長道と岐神海苔夫の共同出撃の際に流れた時は「そうきたか!」と思えるほど高揚感がありました。
ヘイグス粒子砲、重質量砲、対惑星誘導飛翔体、GCPDS(ガウナ本体貫通弾)、重力子放射線射出装置といったマニアックかつ男心をくすぐる独特の名称も魅力的。
一方でアニメ→劇場版だけ見ているとやや急ぎ足な傾向があったので、ところどころで情報補完が必要になります。
原作はわりと描写があっさりしている分、物足りなさを感じるところもあったので双方を見ることでより理解が深まることでしょう。
エンドロール、CAPSULE(カプセル)による主題歌「ひかりのディスコ」が最高に良かった。昔の80年代シティーポップを彷彿とさせる《中田ヤスタカ》サウンドここにありといった感じで、しばらく余韻に浸りながら劇場を後にしました。歌詞の内容もヒロイン白羽衣つむぎとマッチしており、メロディーラインもとにかく素晴らしいです!